Aug04th

クラカス共和国

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クラカス共和国

熱帯に位置し、外来人類を主要な国民とする共和制国家。その共和制は簡単に「軍人共和制」と色分けされる通り、軍事評議会なる最高権力機関を中心として軍人が国政を左右する、どう言い繕おうと非民主的としか言いようが無いものである。しかし、これは実際のところ「妥協の産物」で、もともとモザイク的な移住者の群れで碌な求心力がない集団をなんとかかんとかまとめ上げるために、修繕に修繕を重ねて成り立ったものに他ならない。なんら共通の背景を持たない人間集団が唯一団結を保ち得た瞬間こそ「外敵との闘争」であって、その中心的役割を担った軍人を仕方なく「仮の王」に祭り上げたのが、この特異な体制の端緒となったのである。

軍人共和制のもとでは、軍歴が全てである。市民権は従軍経験者のみに与えられる。逆に言えば、軍はこの共和制に忠誠を誓う者全てを「来る者拒まず」受け入れている。故に、外来人類種を中心とした国家ではあるが、在来人類種だろうと亜人種だろうと軍歴さえあれば、公的にも私的にも差別を受けることはない(建前の上では、だが)。ただ、現実にはもちろん市民権を持たない住民も多数存在しており、彼らには参政は認められないが、かと言って彼らの存在が一概に否定されるわけでもない。非市民は、軍事評議会に対して要望事項を「陳情」することが認められており、「英雄的な軍人」の中には非公式に「袖の下」を通してその陳情に便宜を図る者もいる。決して「軍人に非ずば人に非ず」という軍人専制の国家ではない。かと言って、これを民主的で近代的な共和制国家の一つに数え上げることなど、当然不可能なのは論ずるまでもない。

軍事評議会は、高級将領から一兵卒に至るまで全ての軍人のうちから選ばれた評議員から構成され、共和国の最高権力機関とされている。軍事評議会議長が形式上国家元首の役割を果たす。実際に国家を指導するのは軍事評議会議長の下に招集される「小評議会」であり、これが事実上の政府である。軍が全てを掌握している以上、そこに通底する論理は軍に相応しく命令至上。軍事評議会議長に選出されるのは最先任者、つまり軍の最長老であるから、軍事評議会議長が個人独裁を志ざせば阻止するのは難しいのだが、そんな輩はその地位に至るまでに排除されることになっている。どうしても危険因子が取り除けなければ、蹶起の上で建軍の本義を兵諫し、もろとも自決する。こういったマッチョなノリなので、その核心ではそれなりに血腥い雰囲気が漂っている。